離婚時に取り決めておくこと①

離婚時に取り決めておくべきこと

 

「離婚をする!」と話し合いの結果決まったとしても、あとで紹介するとおり、実は他にもいろいろ決めたほうがいいことがあります。中には、時効の関係でのちのち請求できなくなるものもありますので、ご不安がある方は専門家にご相談されることをおススメします。

 

ご夫婦が離婚される場合、最低限決めなければいけないのは、お子さんの親権者をどちらにするかだけです。逆に、それさえ決めてしまえば離婚することができてしまうということになります。

ただ、離婚が成立した後時間が経てば経つほど、相手と連絡とることや相手の事情を知ることは難しくなってきますので、離婚前、または離婚を決められて早めのうちに、以下のことを決めていくようにしてください。

 

▶財産分与

 

財産分与って?

法律的には、婚姻期間中に築いた財産は、夫婦で共有していることになっています。

そのため、離婚した場合は、その築いた財産を平等に分配するということが必要となります。

このことは、奥様が専業主婦であるとか、不動産や預金の名義が旦那様のみになっているとかは原則関係ありません。

そのため、相手名義の財産がどの程度あるのかを確認していくことも含めて、財産分与の話し合いはしっかり行っていくことが重要です。

 

財産分与と慰謝料の関係にご注意!

また、あとで述べる慰謝料は、この財産分与の中に含められてしまう場合があります。とある裁判例では、財産分与に慰謝料が含まれ、精神的な損害に対して十分に補てんがされている場合、配偶者の不貞行為等を理由に慰謝料を請求することはできないとされました。

そのため、離婚に際して、お金をはらう・もらうとなった場合、どういう名目のお金か、また、どういう点はこれで解消されたのか(逆に、どの点は保留になっているのか)を明確にして、きちんと書面にするようにしてください。

 

支払方法にも落とし穴が…

自宅をお持ちだったご夫婦の場合、当然のことながら、この自宅も財産分与の対象となります。このとき、自宅を売って残ったお金を分けるという方法であれば問題ないのですが、ご自宅を一方に残す場合、どうしても、相手方に支払うべき金額が大きくなり、分割払いの合意をせざるを得ないこともあります。しかし、あまりに長い期間にわたる分割払いは、途中で相手に支払う意思がなくなったり、例えば、離婚後、相手が再婚して、新しい奥さんや子どものために物入りとなる等事情が変わって支払えなくなったりする危険性があります。そのため、長期の分割払いは、なるべく避けるようにし、多少総額の点で低くなっても、一括払いを選んだ方がよい場合も多いです。

 

なお、自宅を残したまま財産分与を行う場合は、不動産の時価から財産分与のときのローン残高を差し引いた金額を分けるという方法が一般的です。また、財産分与は当然のことながら、夫婦の債務を分担することも含まれるので、住宅ローンの残りよりも不動産の時価の方が低い場合、その差額の負担についても十分検討する必要があります。

(文責:神楽坂総合法律事務所)