協議離婚の流れ

厚生労働省の人口動態調査では3組に1組は離婚している日本の夫婦ですが、その9割は協議離婚です。残る1割は調停や裁判などの難しい事態になりますが、ほとんどの場合、財産があるから難しい事態になっています。
では財産が多くないからサラリと離婚してもいいのかと言えば、そうでもありません。
ここでは、理想的な協議離婚の流れをご紹介します。
1 話し合い
まずは、夫婦での話し合いです。離婚の同意を得るための話し合いについてはここでは深くは触れません。ある意味では一番難しいところではありますが、個々の夫婦で違いがありますし、感情が絡むところですので、こうすればいいという正解はありません。相手に対して非を責めるだけではなく、修復不可能であることを説明し、なるべく感情的にならないように話し合いましょう。
さて、離婚の同意が出来たら、事前に話し合うべき項目をリストアップしておきます。最低限、未成年の子がいる場合には親権者や養育費、面会のルールを決めなければなりません。また共有財産の分割、慰謝料、住む場所などについても決める必要があります。
2 合意内容を文書(できれば公正証書!)にする
前項で話し合った内容を基に、合意を文書にします。特に、子どもがいる場合には養育費が発生しますので、強制執行受諾文言付きの公正証書にすることを強くお勧めします。子どものためですので、面倒でも、気まずくても、ここは譲らないことを再度、お勧めします。
そうはいっても、現状日本では協議離婚をする際に公正証書にすることはあまり多くありません。そこで現実的な対処として、合意内容を二人で私文書にしましょう。離婚協議書という題名にして、特に財産についてはきちんと決めておきたいところです。
2人で文書にするのは難しい場合、次点でメモ書きでもいいので離婚の際の合意を残しておきましょう。ボイスレコーダーで録音してもいいですが、バレて問題にならないように気を付けましょう。
3 離婚届の作成
離婚についての諸々の合意が終わったら、離婚届の作成です。
注意すべき点は以下の通りです。
・苗字(氏)は婚姻時のものを記入します。
・年号は和暦でも西暦でも構わないのでどちらか必ず記入します。
・同居の期間は覚えている限りで構いません。
・「別居する前の世帯のおもな仕事と夫婦の職業」については国勢調査の年のみ記入が必要です。国勢調査は2020年、2025年など5で割り切れる年に行われます。
・印鑑はシャチハタ不可です。
・証人は誰でもなれますが、記入してある離婚届でないと証人にはなれません。
4 離婚届の提出・受理
離婚届の提出先は届出する人の本籍地または住所地の役所になります。
本籍地以外の役所に提出する場合には戸籍謄本が必要です。
離婚すると婚姻で氏を変更した人は婚姻前の戸籍の氏に戻りますが、婚姻時の氏をそのまま使用したい場合には、離婚届とは別に「離婚の際に称していた氏を称する届」を提出する必要があります。
提出し、受理されれば無事に離婚成立です。協議離婚は離婚届を提出した時に成立します。